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おんな城主直虎の小野政次が悲劇的な人物になってしまったわけ

直虎

大河ドラマ「おんな城主直虎」で衝撃的な最後を迎えた小野政次。

物語の途中では「家老なのに井伊家に悪いことばかりしてるじゃないの?」「井伊家と今川家どっちの味方なの?」って思いましたが。

途中から「今川の味方のふりをして、実は井伊家のために尽くしている」ことが明かされ。

「最後は裏切り者にされて直虎自身の手で殺される」といういかにもドラマらしい展開になりました。

でも、実際にはそうではなかったようなのです。

本当に今川家の味方をしていたようです。

なぜこんなにも悲劇的で回りくどい人物になってしまったのでしょうか?どうやらドラマの演出の都合と歴史の辻褄をあわせるためになってしまったみたいですよ。

目次

憎まれ役を演じる小野政次はTVドラマの作り話

一般的には歴史上の小野但馬守は裏切り者。井伊谷を乗っ取った。

と、とらえがちです。逆にドラマや小説などでは小野和泉守・但馬守は好意的に描かれることがあります。井伊家を守るためにしていたと書いてる人もいます。

おんな城主直虎・15話では小野政次のことを義理の妹・なつが「井伊を守る盾ではないか」と言ってました。大河ドラマの小野但馬守は、おとわを守るために今川家に従うふりをして。井伊家を守るため憎まれ役を演じてます。

最後は、井伊家を残すためにあえて裏切り者として死んでいったことになってます。

これはドラマを面白くするための演出なんです。

大河ドラマは歴史を忠実に再現しなければいけない。なんて規則はありません。視聴率・面白さが優先なので歴史の記録と違う部分はよくあるんです。

なぜドラマの政次は悲劇の人になったの?

大河ドラマ「おんな城主直虎」では悲劇的な人物として描かれています。これは歴史上のすがたではなくてドラマの都合です。

なぜそのようになったか想像してみると、このような理由が考えられます。

もともと「おんな城主直虎」は女性を主人公にしたドラマにしたいというNHKの都合がありました。そこで朝ドラで実績のある女性制作陣が中心になって作られました。だから朝ドラ的展開でドラマが進みます。

朝ドラに必要なのはおてんばヒロインを助けるイケメンの男性出演者です。
そこで演出上の都合としてこのようなことが考えられたのではないでしょうか。

ヒロインを守るイケメン俳優を設定したい。
許嫁の井伊直親は出番が少ない。
直親の死後は出番が多い小野政次をヒロインを守る男にしたい。
直虎に想いをよせる小野政次にするために幼馴染・独身者にしてしまおう。

といったところでしょうか。

でも歴史上の小野政次はこのように記録されています。

今川家に味方する人物だった。
井伊次郎(次郎法師)が解任されたあと井伊谷の代官になった。
井伊家からは「領地を横領した」と受け止められている。
二人の息子がいた。

長くなるので、歴史上の小野政次についてはこちらでまとめました。
小野但馬守政次は井伊家の家老なのになぜ裏切り者になったのですか?

歴史上は井伊家から見るとあまりいい印象はもたれていないようです。

そこで、ヒロインを助けるいい人だけど歴史上は印象の良くない人という記録がのこってしまった。という設定にしなければいけません。

つまり、ドラマの都合と歴史の記録の辻褄をあわせるために悲劇的な人物になってしまった。と考えられます。

小野政次は既婚者で息子がいた

ドラマでは小野政次は独身を貫き子供はいないことになってます。

でも、歴史上の小野但馬守には二人の息子がいました。

今川家が安泰なら小野但馬守が築いた地位は息子にも受け継がれたはずです。小野但馬守が次郎法師をかばう理由はないのですね。

直虎に想いをよせる政次を描くためには政次の家族は邪魔。だから家族がいないことにされたのでしょう。

弟の妻との横恋慕もいかにも現代ドラマ的です。

憎まれ役は演じてやるものじゃない

ドラマでは小野但馬守は井伊家中ではあえて憎まれ役を演じていることになってます。

たしかに小野但馬守が抵抗勢力になってくれたおかげで井伊一族にまとまりができた。結果的に次郎法師が家臣をまとめやすくなった。という事情はあったかもしれません。

でもそれがあったとしても、結果的にそうなったというだけ。

次郎法師が小野但馬守と共謀したと考えるのはかえって嘘くさいです。

戦国武将の行動は現代の政治に置き換えるとわかりやすいです。例えば、小池百合子が自民党東京都連と対立して票を集めました。でも、自民党東京都連が小池百合子と共謀してあえて憎まれ役を引き受けているわけではありません。

あるいは、日本政府が支持率を高めるために北朝鮮と共謀してあえてミサイルを撃たせているとか。

それとおなじくらいあり得ない話です。

幼馴染を守るために独身を貫いて憎まれ役を演じるのはドラマとしては面白いかもしれません。

でも、戦国時代の部将がするなんてありえないです。

ドラマは歴史を知るきっかけ

歴史の人物を扱ったドラマや小説では、面白おかしくするために歴史が捻じ曲げられたり脚色されています。

ドラマや小説だけをみると歴史について間違った判断をすることがあるんですね。

もちろん記録があっても解釈は人それぞれです。ドラマは歴史を知るきっかけとして捉え、歴史上はどのように記録されているのか調べ、自分なりの人物像を考えてみるのも楽しいかもしれませんね。

歴史上の小野但馬守政次についてはこちらで説明しています。

・小野政次の一生について
小野但馬守政次・井伊直虎と対立し井伊谷を占領するも最後は処刑される

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