韓国ドラマ「不滅の恋人」、「原題:テグン(大君)愛を描く」は李氏朝鮮を舞台に二人の王子の対立を描いた作品。ドラマの登場人物は架空の人物ですがモデルになった実在の人物がいます。
ドラマのモチーフになったのは首陽大君と安平大君の対立なんですね。首陽大君はクーデターを起こしたあと甥から王座を奪いました。過去にも「王女の男」「インス大妃」などで描かれました。でも史実をそのままドラマ化するとあまりにも残酷なドラマになってしまいます。韓国ドラマ「不滅の恋人」は首陽大君と安平大君の対立を三角関係のラブストーリー風にアレンジしたものなんです。
ドラマのどの人物が歴史上のどの人物が知っておくとドラマのあらすじが見えてきたり、逆に事実と展開が違って「おやっ」と思う驚きもありますよ。
この記事ではネタバレのあらすじも入ってますので結末を知りたくない人は最後まで読まないほうがいいですよ。
そこでドラマの人物がどの歴史上の人物になるのか紹介します。
不滅の恋人、登場人物のモデルになった史実
イ・フィ:ウンソン大君
演:ユン・シユン、声:阿座上洋平
ドラマの主人公の一人。国王イ・ヒャンとチニャン大君イ・ガンの弟。詩や書画など芸術的な才能があり皆から高い評価をうけています。初恋の人チャヒョンと静かに暮らすことを願っていましたが、兄イ・ガンの野望が国と彼の運命を変えていきます。
モチーフになった人物
安平大君(アンピョンテグン) イ・ヨン
世宗の三男。兄・首陽大君とおなじように政治に関心を持っていましたが、首陽大君と違い重臣たちから支持されていました。芸術を好み文官たちとも交流していたため、あまり警戒されていなかったからです。キム・ジョンソら重臣たちとともに長男・文宗の息子・端宗を助けて政治を行おうとしました。しかし兄・首陽大君との争いに敗れ、江華島に島流しなり死亡しました。
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・安平大君(アンピョンテグン)、首陽大君と争い破れた芸術家タイプの王族
イ・ガン:チニャン大君
演:チュ・サンウク、 声:加瀬康之
先王と大妃の次男。国王イ・ヒャンの弟。病弱な長男の王位継承を脅かさないように宮殿から出され寂しい生活をしていました。弟イ・フィと比べられるのが嫌。叔父:ヤンアン大君の助けを借りて王座に就こうとします。チャンヒョンをも奪おうとしますが。
モチーフになった人物
世祖・首陽大君(スヤン大君)
世宗の次男。世宗から野心があることを見抜かれ若い頃に宮殿を出されて暮らしました。強いリーダーシップを持ち叔父:ヤンニョン大君ら王族の支持を得ます。しかし端宗をとりまくキム・ジョンソら大臣は首陽大君に対抗するため安平大君と手を組みました。首陽大君は安平大君や大臣たちと対立。クーデターを起こし敵対する大臣たちを暗殺。大臣に担がれた弟:安平大君を追放したあと自害させます。その後、甥の端宗から王位を奪い7代国王・世祖となりました。
権力を手にするため多くの犠牲を出しました。しかし世祖の治世に「経国大典」などが整い朝鮮王朝の基礎を築いたといわれます。
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・世祖(首陽大君・スヤンデグン)は大勢の犠牲を出して強い王を目指した
ヤンアン大君
演:ソン・ビョンホ、声:佐々木梅治
王族の長老。先々代王の長男で王位継承者でした。傍若無人なふるまいのため廃位され王にはなれませんでした。甥のイ・ガンに肩入れして彼を王にして朝廷の権力を手にしようと暗躍します。
モチーフになった人物
譲寧大君(ヤンニョン大君)
3代太宗の長男で4代世宗の兄。世子になりますが、自由奔放な性格で儒教の教えに厳しい王室の生活に馴染めませんでした。やがて異常な行動をとったり、女性関係にだらしなかったりしため世子の座を奪われます。世子を廃されたあとも監視を付けられ生活しましたがたびたび事件を起こしています。首陽大君がクーデターを起こしたときには首陽大君に味方しました。安平大君を死刑にするように主張したといわれます。
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・譲寧大君・問題行動が多く世子を廃された世宗の兄
大妃シム氏
国王、イ・フィ、イ・ガンの母。後継者問題では頭を悩まさせます。王位に野心を持つイ・ガンを警戒しますが。
モチーフになった人物
昭憲王后
4第国王・世宗の正室。6代国王・文宗、首陽大君、安平大君の母。歴史上は世宗よりも早く他界して息子たちの争いを見ることはありませんでした。
イ・ヒャン国王
演:ソン・ジェヒ、 声:加藤亮夫
先王の長男。子供の頃から病弱。国王になったあとも病気がち。末弟イ・フィを信頼。幼い息子から王位を奪おうとするイ・ガンを警戒しています。
モチーフになった人物
文宗
5代国王。世宗の長男。若い頃から勉強熱心で将来を期待されていました。世宗の在位中も老いた父に代わり政治を行っていたこともありました。病弱なところがあり。若くして死亡します。幼い息子・端宗の将来を心配してキム・ジョンソたちにあとを託しますが、その不安は的中。文宗の死後、首陽大君が王位を狙います。
イ・ミョン
国王の長男。産まれたばかりでまだ王位継承者(世子)になっていません。
一度は王位を奪われたもののラストでまさかの復位。
モチーフになった人物
端宗
文宗の長男。6代国王。父が病死したため幼くして王になりました。幼かったので政治は大臣のキム・ジョンソたちが中心になって行っていました。しかし王族には王が大臣のいいなりになっていたことが我慢できない人々もいました。首陽大君もその一人。結局、首陽大君によって王位を奪われました。上王となったものの端宗の復位を狙う反乱がおきたため処刑されました。
ヒョ嬪キム氏(王妃キム氏)
父は重臣のキム・チュ。最初は国王の側室、ヒョ嬪キム氏として登場。息子を産んだことで王妃になります。
モチーフになった人物
顕徳王后権氏
王子の母という意味ではモデルになったのは顕徳王后権氏。ただし出産後に死亡しているので我が子を養育していません。
恵嬪楊氏
生母に替わって端宗を育てたのは世宗の側室だった恵嬪楊氏。世宗の信頼があつい人物で端宗の養育を任されました。しかし後に世祖によって廃位され処刑されました。
ユン・ナギョム
イ・ガンの正妻。ヒロイン・チャヒョンの友人。父は亡くなり力のない家柄の次女。姉をさしおいてイ・ガンの正妻になりました。チャヒョンに嫉妬してライバル心を燃やします
リュ・ヒョヨン、 声:渋谷はるか
モチーフになった人物
貞熹王后尹氏
名門の一族ですが父の地位はあまり高くありません。姉が首陽大君の正室になる予定でしたが、宮廷の死者の目に止まって首陽大君の正室になりました。クーデターをためらう首陽大君を叱咤激励して送り出すなど、行動が大胆で決断力に優れた女性だったといわれます。
さらに詳しく知りたいなら
・貞熹王后尹氏(チョンヒ王妃ユン氏)は朝鮮初の大王大妃・隠れた実力者だった
ドラマの結末は史実とは違って・・・
歴史上の人物となった人はいるのですがドラマの結末は歴史とは違います。史実通りにやったらイ・フィ(歴史上は安平大君)は死んじゃうことになりますからね。・・・でも死にません。逆に幼い王を復位させるために反乱を成功させ、復位した王の摂政になります。10年間摂政した後は引退してヒロインと共に余生を暮らします。
つまり史実の首陽大君(世祖)と違ってイ・ガンは即位したものの・・・反乱を起こされ死亡。
世祖が途中で死んだら朝鮮の歴史は変わってしまいますよ。
史実では首陽大君に王位を奪われ死亡した端宗でしたが・・・ドラマのイ・ミョンは再び王になって成人する。
つまり、歴史上は失敗した端宗復位計画がこのドラマでは成功するのです。
ドラマはハッピーエンド。ストーリーがあまりにもうまく出来すぎている気もしないではないですね。
韓国の歴史ドラマは史実にはこだわらず「こうだったらいいな」と現代人の好みで変えられたものが多いです。でも歴史上の事件の結果が変わったものは珍しいです。だからドラマの登場人物の名前を変えているのでしょう。韓国では歴史の事実は重要ではありません。現代人が「こうだったらいいな」と思うストーリーが大切にされます。程度の差はありますが、他の歴史ドラマもその傾向がありますのでドラマが歴史的な事実だと思わないほうがいいです。
首陽大君と安平大君の対立をモチーフにしながらも悲しい歴史的事実を「こうだったらいいな」とアレンジしたのがこのドラマのようです。
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