NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」の第24週「ものごっついええ子や」ではある事件が起こります。
どうやらスズ子の娘にかかわる事件のようです。
このエピソードは福来スズ子のモデル・笠置シヅ子 の身にも起きたある事件が元ネタになっています。
この記事では笠置シヅ子とその娘におきた事件を紹介します。
近所の男・小田島大
小田島大(おだじま だい)
演:水澤紳吾
スズ子の家の近所に住む男。若くして妻を亡くし、息子と二人で貧しい暮らしをしています。
そしてある事件を引き起こすのですが。
刑事・高橋
高橋(たかはし)
演:内藤剛志
世田谷署のベテラン刑事。
ある事件の捜査でスズ子の家を訪れます。
笠置シヅ子の娘誘拐事件
1950年ごろ。笠置シヅ子は世田谷に家を建てることにしました。でも笠置シヅ子は屋敷の建設資金のために用意した資金(現在の価値で1億円相当)をマネージャーの山内に使い込まれてしまいました。でも契約はすでに済ませて着工の準備に入っています。
シヅ子は建設資金のために必死に働きました。
昭和26年(1951年)。世田谷に新居が完成。シヅ子の家は平屋。他のスターの豪邸とはちょっと違うかもしれませんが、広い庭をもつアメリカ風のお洒落な家でした。
庶民の注目を集めるスターの豪邸
このころ芸能関係のメディアで話題になっていたのがスターの豪邸でした。スターたちは豪華や邸宅やプール付きの豪邸を建て。話題になっていました。
でも1950年代はまだまだ一般の人々はそれほど裕福ではなく。貧しい暮らしをしている人も大勢います。スターの豪邸は庶民には憧れの的でした。
テレビや雑誌などのマスメディアでは「スターのお宅訪問」という企画が人気になり。庶民の生活とはかけ離れた豪華な暮らしがメディア上で話題になっていました。
芸能人にとってはプライバシーの侵害ですが、当時は人気者がプライバシーをさらすのは当然という風潮がありました。
しかしそうなるとある事件が多発するようになります。
笠置シヅ子の娘を殺すぞと脅迫を受ける
昭和29年(1954年)。笠置シヅ子の家に男から「俺達の結社に金がいる。天神橋下に6万円おけ。さもないと一人娘を殺すぞ」と脅迫電話がかかってきました。
サラリーマンの1ヶ月の平均収入が1万円の時代。6万円は半年分の収入です。当時多発した誘拐事件にしては金額が少ない方かもしれませんが。脅迫を受ける親としてはたまったものではありません。
一人娘が殺されると恐れたシズ子は警察に通報。その後も犯人からは9回電話がありました。
警察の協力のもと、シヅ子のマネージャーが犯人が指定した場所にお金を渡しに行きました。受け取りに来た犯人を張り込んでいた刑事が逮捕。
幸いにも娘には被害はなく無事でした。
男は30歳の無職の男。結婚を控えていたのに失業して金に困って犯行に及んだと供述しています。
懲りない犯人がまた事件を起こす
犯行は未遂に終わったので釈放されましたが。この男は翌年の昭和29年(1954年)にもまた事件を起こして笠置シヅ子を脅迫。再び逮捕されています。
一度捕まっても反省していなかったようです。
母一人で娘を育てる親の気持ちにつけこんだ卑劣な犯行というしかありません。
誘拐事件が多発した時代
昭和20年代後半から30年代。芸能人や富裕層を狙った誘拐・脅迫事件が多発していました。
芸能人はテレビや雑誌などで家の場所をさらし、住所や電話番号もメディアに載ってます。
豪華な邸宅や豊かな生活をさらしている芸能人は、ときには反感をかったり。犯罪の標的になりやすかったのです。
当時は「有名税」という理不尽な言葉があり。マスメディアや庶民も芸能人や有名人のプライバシーを侵害しても平気、むしろそういう人たちが被害にあうのを喜んでいる人たちもいました。
戦争の被害から立ち直りつつあるといってもまだまだ貧しい生活をしている人はいます。その一方で豊かな生活をしている人もいます。豊かな人とそうでない人の差が大きくなっていた時代に起きた事件でした。
だからといって許される事件ではありません。苦しいのは犯人だけではありませんし、卑劣な犯罪には違いありません。
ドラマ「ブギウギ」でもこの事件をモデルにしたできごとが起こります。ドラマではどのように描かれるのでしょうか?気になりますね。
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